ここ最近、方方でとても話題になっているSDGs、皆さんも一度は耳にされた事があると思います。
SDGsとは、2015年に国連総会で採択された成果文章の中で示された、2030年に向けた行動指針の事で、”Sustainable Development Goals”、日本語では持続可能な開発目標と訳されています。
物凄く乱暴にまとめると、『次世代に対し負担をかけずに全ての人類が発展していく』事を目指し、その為に、貧困をなくす、平等かつ公正な社会、地球の資源を守るといった17の目標を掲げ、皆で達成しようという取り組みの事です。
……まぁ、採択から5年以上も経って最近急に話題になったのには、色々と大人の事情がある訳ですが、それはさておき。
実はそれより以前、2000年にMDGs(Millenium Development Goals)、ミレニアム開発目標という物があった事をご存じの方は殆どいないのではないでしょうか。
SDGsは、このMDGsを引き継いでいるのですが、その目標の7番目、環境の持続可能性の確保のターゲットの一つが、SDGsでは6番目の目標として格上げされました。つまり、より重要かつ解決できていない項目なのですが、それは何でしょう?
はい、井戸屋がブログで取り上げるのですからお分かりですね。水の事で『安全な水とトイレを世界中に』という目標です。
実はこの目標、我が日本では達成できていません。
「え?日本ならどこにでも上水道があるじゃないか」「トイレだって水洗だし」と思われるかも知れません。また、「日本は雨が多いし水には困ってないだろ」と感じる方も多いと思いますが……
日本は、決して水資源は多くないのです。
確かに、日本の降水量は年平均で1700mm弱もあり、世界平均の約1000mmに比べると1.6倍程あります。ですが、日本にはこの狭い国土の中に、1億3千万もの人が住んでいます。一人あたりの降水量を求めると、おおよそ5トン/人・年。これは世界平均の4分の1しかないのです。
しかも日本は高い山が多く、中国の黄河やエジプトのナイル川のような、ゆったりとした川は殆どありません。狭い幅を一気に水が流れる川ばかりで、保水能力が殆どないのです。まぁだからこそ、ダムを大量に作ったり、必死に水を確保している訳ですが、小さな島ではどうしようもありません。本土から海底や橋にそって水道管を通してどうにか水を保っているのが現状です。
また、日本は食物の多くを海外からの輸入に頼っています。穀物にしろ、或いは肉にしろ、それを育てるには大量の水が必要です。食物を輸入するという事は、それを生産するのに原産国が使用した水(バーチャルウォーターと言います)を間接的に輸入しているとも言えるのです。
そもそも夏場に、取水制限のニュースを聞かれる事があると思います。このような言葉が出てくる事自体、日本の水資源は決して豊かではないという証左と言えますよね。
さて、それでは、安定した水の確保をどうすれば良いのでしょうか?取水制限をされても、或いは水道料金が高まっても、事業を安定して継続するには?はい。井戸屋としては地下水の利用を強くお勧めします。
少ない湖、急な川と地表では水を貯められない日本ですが、その地下には莫大な水が蓄えられています。一般に淡水は、地表にある河川や湖などに比べ、地下にはおおよそ75倍もの水が存在していると言われています。
今の若い方はご存じないかと思いますが、日本もかつての高度成長期頃には安価で良質な地下水を大量に利用していました。河川がない場所や離島でも、水道管をひく必要もなく低コストで水が得られる井戸は、日本全国で大変重宝されていたのです。
逆に、あまりに乱雑に汲み上げた為、地盤沈下などの問題を引き起こしてしまい、地下水の汲み上げが悪い事のようなイメージを世間に持たれてしまいましたが、今では地下水保護の仕組みも整い、このような問題は起こっていません。きちんと計画性を持って組み上げれば、井戸ほど有効な水資源はないのです。
そして地下水を使う事によって、貴重な河川の水を、飲用水や農業用水など社会を支える他の用途へ利用する事が可能になるのです。
節水はとても大切な事です。その現実的な手段として、地下水の利用を考えてみてはいかがでしょうか。